冬                                       


干し柿の縄の重みや冬来る

年越しの鐘なり初むや町の寺

賀状かき古きえにし縁をしのぶかな

 



寒波来て金魚もじつと藻陰かな

寒行のはだしの僧のわらじ立ち

年越しや厨の音と妻の声




夜回りの柝の音たかし辻の闇

杣の家に咳きひとつガラス打つ

極楽はかくこそあらん寒の床

 


雪の夜は太郎次郎と眠るなり

薄氷に小さき魚のみえかくれ

北山のはてより京にこぼれ雪



嫁ぎたる娘はいかに根深切る

里の夜半響き渡りぬ母の咳

耳とおき母も驚く冬の雷


目覚めてかぬく温き厨に冬の蝿

しづかなり蛙の眠る冬の池

白球を叩けばさや清か寒稽古


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