はしがき……かならずお読みください

嘘もつきとおせば本当になるらしいが、それなら趣味とはいえ一生懸命に作ったものも、自己満足しているだけでは現実のものではなくなってしまうのではないか。

つまり下手なひねりを何度も重ねた「迷作俳句」も、 大家に倣ってでき上がった「自己満写真」も、どなたかにお披露目しないでは、すべてがこの世に無かったことになってしまうにちがいない。

この歳になると事故死、病死、原因不明の頓死なども十分考えられる。もしそうなるとパソコンのデーターは捨てられてしまい、私の貴重な迷作群はこの世に存在しなかったことになるだろう。一瞬にして無に帰することになるのだ。

「この世にとどめおく術はないものか……」というのは真っ赤な嘘、本づくりをするための御託を並べてみただけで、
本心は言うまでもなく、自分の作った俳句や写真などをお披露目あるいは婉曲に自慢したいのであります。

「わざわざ製本までしなくてもCD/Rに保存して配布すれば?」と皮肉を込めてあなたはおっしゃるに違いない。しかしそれでは駄目、そんなことでは私が存命中でも誰も見てくれはしない。この世の中他人事に興味がないのが常であります。

「ハネムーンの写真やビデオをながなが見せられるのは苦痛だね、しかし素人の暇つぶしを鑑賞させられるのはもっと忍耐と努力が必要だよ」
そのとおり、趣味作品なんてものはご覧頂くことすなわち迷惑をかけることになるわけです。その迷惑を承知の上でこの本を進呈することになってしまうのか。

そうなると、「迷惑をかけてもまあ許される親類縁者にしか読んでもらえないことになるのかなぁ。そんなことでは遥々浜松まで出かけて、先輩のNさんから教わった和装本の製作も十冊足らずで済むことになってしまう」

せっかくの優秀傑作自信作品なのにこれでは私の自己顕示欲を満足させられないではないか。ならば日ごろ迷惑をかけあっている同好の士、あるいは互いの自慢話を聞き流しあえるお友達にもご協力いただくことにしよう……。と考えた。

以上が、この本を貴方に謹呈した理由であります。それでは皆さん我慢と努力で私の自己満足の世界にお付き合いください。(平成十七年正月)